研究概要 |
1 MDS患者骨髄単核球のサイトカインに対する反応性の検討 MDS計13例(RA 3例,RAEB 7例,overt leukemia 3例)においてメチルセルロース法によるコロニーアッセイを用いてG-CSF,GM-CSF,IL-3に対する反応性を検討した.MDS患者サンプルでは正常コントロールに比し反応性が低下する傾向を示したが,病期との関連は明らかではなかった. 2例(RAEB 1例,overt leukemia 1例)においてG-CSFに対してのみ選択的に濃度依存性にコロニーの増殖を示す症例が得られ,またovert leukemia 1例の末梢血より得られた白血病細胞の上記サイトカインに対する増殖反応性をMTT-assayにて検討し,この症例においてもG-CSFに対して選択的な濃度依存性増殖を呈した. 2 MDS患者骨髄単核球におけるG-CSFRの解析 MDSの病態および病型移行の分子機構の一端を明らかにするためG-CSFRの細胞内領域についてダイデオキシ法による塩基配列の決定を,G-CSFに対して増殖反応性を示した3例および反応低下を示した1例を中心に行ったが,明らかな変異・異常は見出せなかった.今後さらにG-CSF反応性と白血病発症との関連を検討中である. 3 (6;9)転座とG-CSFのシグナル伝達機構の検討 末梢血白血病細胞G-CSFに対して選択的な濃度依存性増殖を示した上記1例は(6;9)転座を有しており,PCR法にてDEK-CANキメラ遺伝子の存在を確認している(血中G-CSF濃度は正常).この遺伝子にコードされる蛋白の転写活性因子としての機能を検索し,G-CSFR以下のシグナル伝達に関与していると考えられている蛋白(Jak,Stat等)の転写調節への関与を検討している.
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