研究概要 |
申請者らは世界に先駆けて、遺伝子導入効率の良いアデノウイルスを用いてp21、p16等の細胞周期抑制遺伝子をメザンギウム細胞に導入して、メザンギウム細胞の細胞周期の調節のメカニズムをin vitroの系で検討した。またcyclin D1がG1 cyclinの中でメザンギウム細胞の細胞周期調整の上で重要であることを示し、cyclin D1の強制発現によりメザンギウム細胞の細胞周期はG0-G1/S期に移行する事を示した(Terada et al.J.Am.Soc.Nephrol 8:51-60,1997)。次のステップとして、それらのメザンギウム細胞の細胞周期抑制遺伝子を組み込んだアデノウイルスを腎炎モデル動物の腎臓にin vivoで遺伝子導入を試みている。アデノウイルスは正常ラットの腎動脈に投与すると尿細管に主として発現するという報告があるが、腎炎ラットでの検討はなく、LacZ遺伝子を組み入れたアデノウイルスをマーカーにして腎糸球体でアデノウイルスを発現させるための投与法、投与量等を検討している。またp21,p16を組み入れたアデノウイルスを用いてin vivoでもメザンギウム細胞の増殖抑制が起きるかどうかを検討し、腎炎の組織像や尿所見とも検討しながらメザンギウム増殖性糸球体腎炎の遺伝子治療の可能性を検討している。
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