研究概要 |
C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)の内皮細胞からの分泌調節機構を解明するために、内皮細胞と血管平滑筋細胞の共培養系におけるCNPの合成,分泌と血管平滑筋細胞に対する作用を検討した。共培養系においては内皮細胞からのCNP分泌は内皮細胞単独培養持の60倍に増加しており、CNPmRNAの内皮細胞における発現増加も同時に確認された。更にcGMP産生の増加も観察され、このcGNP増加はCNPに対するモノクローナル抗体および受容体拮抗薬のHs-142-1で阻害された。この共培養系におけるCNPの合成,分泌の増加は培養上清中のTGF-βの増加による可能性が示唆された。実際にTGF-βの中和抗体の添加によりcGMPの産生は抑制された。またTGF-βは平滑筋細胞の成長抑制作用を持ち、この作用はHS-142-1およびCNPのモノクローナル抗体で消失した。以上の結果はCNPが高血圧性、動脈硬化性腎血管障害、糸球体障害に深く関与していることを示唆するものである。 更にヒトにおけるCNPの影響を実際に検討する目的で慢性腎不全患者血液中のCNP濃度を測定すると共に健康人を対象にCNPの静注を行った。慢性腎不全患者では血中のCNP濃度は正常人の2倍以上に上昇しており、CNPの静注で血中尿中cGMPの上昇と、利尿作用、Ccrの増加、血圧の低下、脈拍の増加、血中アルドステロン濃度の低下を認めた。
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