研究概要 |
[目的]胎児発育におけるinsulin like growth factor-I(IGF-I)の意義を探る目的で新生児臍帯血中total IGF-I(T),free IGF-I(F),IGFBP1(BP1),IGFBP3(BP3)の動態を検討した。 [対象・方法]非妊婦人血(n=18,年齢17-39),新生児臍帯血(n=155,妊娠21-42週)より血漿を採取した。FはIRMA(Takada et al.Journal of Immunoassay 15(3)203-276.1994)にて,またTは酸エタノール抽出後に同じIRMAにて測定した。BP1,BP3は各々のELISAにて測定した。 [結果]在胎週数と共にTは上昇傾向、Fは下降傾向を示した。正期産appropriate for dates(AFD)児ではT;60.17±24.39ng/ml,F;0.97±0.48ng/ml,F/T;1.7±0.7%であった。F/Tは妊娠21〜29週(5.1±0.4)で成体に比し著明に高値であった。またF/TはTと負の相関(r=-0.412,p<0.001)を示した。BP1は正期産AFD児で60.1±75.0ng/mlと成体に比し高値であり,在胎週数と共に下降傾向を認めた。BP1はFと負の相関(r=-0.467,p<0.005),生下時児体重と弱い負の相関(r=-0.302,p<0.0005)を示した。BP3は正期産AFD児で1075.4±249.0ng/mlと成体に比し低レベルであったが,在胎週数と共に上昇傾向を認めた。BP3はTと正の相関(r=0.533,p<0.001),生下時児体重と正の相関(t=0.403,P<0.001)を示した。 [考察]妊娠の進行に伴い胎児血中におけるIGF-I濃度の増加および遊離型と総IGF-I濃度の比率,BP1,BP3の変動が胎児発育に重要な生物学的意義を持つと考えられた。
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