1.敗血症性播種性血管内凝固(DIC)モデルとしてSD系ラットに中心静脈ルートを挿入し、これよりエンドトキシン2.0mg/kg/dayを持続投与する、ラット微量エンドトキシン持続投与モデルを作製した。 2.そしてこのモデルが従来より用いられてきたエンドトキシンのワンショット静注モデルや腹腔内注入モデルと比較して、再現性、臓器障害の程度、血中マーカー変動の点で、より臨床例に近いモデルであることを確認した。 3.上記モデルにアンチトロンビンIIIの投与を行い、これによる著明な生存率の改善(0%→92%)、及び臓器障害の改善を確認した。 4.上記のアンチトロンビンIIIによる生存率改善や臓器障害改善効果は、投与量が500IU/kg/dayまでは用量依存性に増強がみられること、またヘパリンの併用や初期大量投与による影響はみられないことを確認した。 5.上記の臓器障害を組織学的に検討し、腎糸球体においてはアンチトロビンIIIにより微小血栓形成が予防されていることを確認した。 6.今後は微小血管内凝固の抑制とともに血管内皮細胞障害との関連、またサイトカインやトロンビンレセプター活性阻害との関連など、作用機序に関する検討を進めていく予定である。 7.また、敗血症性臓器障害におけるメディエーターとしてのトロンビンの重要性を検討していく予定である。
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