研究概要 |
【方法】成犬において、外肛門括約筋を脱神経させた後、大腿二頭筋神経を陰部神経に神経上膜縫合した。3カ月以上経過した後、外肛門括約筋を組織化学的に検討し、代替神経支配法の有効性について検討した。 【結果】8頭15側において大腿二頭筋神経-陰部神経縫合が行われた。1側において筋萎縮のため外肛門括約筋の採取が不可能であった。他の14側では外肛門括約筋はよく保たれており、type1筋線維率は平均29.1%で大腿二頭筋のそれに似た変化を示した。筋線維の直径はtype1線維で平均34.0μm、type2線維で平均31.8μmであった。(大腿二頭筋のtype1筋線維率38.5%,type1線維直径34.8μm,type2線維直径37.2μm、外肛門括約筋15.2%,type1線維直径29.5μm,type2線維直径30.4μm) また、2犬において、両側の陰部神経を切除して、陰部神経切断犬を作成し、経過を観察したところ、両側ともに外肛門括約筋は萎縮し採取不可能であった。また、両側ともに大腿二頭筋神経-陰部神経縫合が行われた6犬ではresting pressure 【結語】下肢の運動神経を縫合した肛門括約筋は、15側中14側で代替神経に支配され、それらは筋萎縮を免れ、むしろ筋線維が肥大している可能性があることが確認された。 以上より、pudendal neuropathyによる外肛門括約筋の筋萎縮に対する治療法として、代替神経支配法は有用である可能性が示唆された。
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