研究概要 |
未だ十分研究されていない胃癌におけるCEA gene family member(CEA,NCA,BGP,CGM2等)の発現を大腸などの他臓器癌と比較検討した。 1)CEA,NCA,BGPおよびCGM2に特異的なプライマーを用いたRT-PCRによりそれらの発現を種々の胃癌細胞株について検討したところ、腺癌でCEA,NCA,BGPおよびCGM2すべての著明な発現が認められた。 2)胃癌および大腸癌の摘出標本よりRNAを抽出し、RT-PCRを行い各々のmーRNAの発現を周辺正常粘膜と比較した結果、CEAおよびNCAでは胃、大腸ともに正常粘膜に比べ癌組織で有意に発現の増加を認めた。大腸ではBGPおよびCGM2は癌組織で発現が抑制されており、大腸でBGPおよびCGM2が癌抑制遺伝子として働いているというこれまでの報告を支持する結果が得られた。しかし、胃では癌組織でBGPおよびCGM2の発現が顕著に増加していることが判明した。確認として、特異的なprobeを用いた組織でのin site hybridizationにてRT-PCRと同様の結果が得られた。 以上より、他臓器特に大腸癌で今まで報告されているようにBGPおよびCGM2が癌組織でその発現が抑制されているのに対し、胃癌組織ではCEAとNCA同様BGPとCGM2も発現が増加していることが示され、BGPとCGM2の機能は臓器により異なることが考えられた。 今後は、さらに症例を検討し予後や癌抑制遺伝子との関係を解析していく予定である。
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