本研究は、肺切除時の内因性の一酸化窒素(以下NO)の産生がどう変化するかを調べることが目的である。 先ず、ratの肺切除モデルを確立することに努めた。当初。静脈麻酔下に肺切除を行ったが、耐術する動物が多くなく、吸入麻酔による切除を行うことにより、安定した生存が得られるようになった。次いで、ratの呼気を集める方法についてやはり浅い静脈麻酔下では、気管内挿管が困難であり、全身麻酔により挿管が確実にできるようになった。当初呼気ガス中のNO濃度をリアルタイムで測定しようとしたが、機械の特性から、十分なデータが得られないことが判明し、呼気ガスを集受バッグに集めて呼気中のNO濃度を測定することとした。呼気を集める方法は、当初プラスチックバッグに集めていたが、バッグの材質から、NOその他のガスが浸透してしますことが明らかとなり、このためと思われるデータの不一致が見られた。そこで、呼気集受バッグをアルミニウムバルーンに変更し、安定したデータが得られるようになった。その結果によると、術後早期には、呼気中のNO濃度の上昇が認められるようであるがまだ解析の段階には至っていない。 NO合成酵素の発現に関しては、先ず、免疫組織化学による染色性を指標に解析しようと試みたが、抗体の感度が不十分で現在Western Blot法による酵素量の解析を勤めているところである。 NO合成酵素の遺伝子の解析はプローブを作成している段階でまだ結果が出ていない。 以上、現在十分な結果が得られていないために発表に至ってはいないが、諸々の問題を解決しつつあるので、成果が得られるものと考えている。
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