研究概要 |
手術治療を要すると判断された大動脈弁置換対象症例15例について,患者さん本人の承諾の上で下記方法を実施した. (方法)大動脈弁置換術前後で心臓カテーテル検査と同時に心エコー検査を施工し左室圧,左室壁厚,左室内腔長を測定しそこから左室収縮末期壁応力を算出する. また左室心筋生検を同時施工し組織光顕標本を作成する.この標本より心筋繊維化率をpoint counting法により%fibrousisとして求め,その術前後の変化率を求めた. 特に人工弁置換術後は経大動脈的に左心室内に生検鉗子および圧測定カテーテルを挿入することは困難なので右心房よりBrockenbrough法を用いて経僧房弁的に左心室内に挿入し心筋生検および心室圧測定を施工する工夫を要した. さらに術前後の同時期に^<99m>TlClと^<11 1>In-antimyosin Fab2核種同時収集心筋SPECTを行う.このRIシンチグラフィーで^<99m>TlClで欠損像,^<11 1>In-antimyosin Fabで集積像が得られた場合は変成心筋のみと考えられるものである.各々の集積欠損像をMappingしそれをDegitaizerでComputerに入力しその面積比を計算し術前後の変化率を計算しておく. 以上三者の相関を求め左室心筋のreversivility評価を検討した. (結果)心筋生検標本より得られる%fibrousis値とRIシンチグラフィー集積欠損像より求められる変成心筋面積比は良好な相関を示した. 術前左室収縮末期壁応力の高値症例では%fibrousisも高値でその術前後の改善度は低い傾向にあり,RIシンチグラフィー集積欠損像の面積比の改善も望めない傾向があった. (結論)大動脈置換対象症例は左室収縮末期壁応力の増大する前に手術を施工すべきである.
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