研究概要 |
【研究方法】対象は体重5-8kgのブタ10頭。膜型人工肺を用いた体外循環下に60分間の大動脈単純遮断、常温虚血を施工後、体外循環を終了し開心術後急性循環不全LOSモデルとした。うち5頭(補助循環施行群)では再度60分間の補助循環を施行。また他の5頭(Rescue Blood Cardioplegia併用群:Rescue BCP群)では補助循環開始後に大動脈を遮断し20分間の常温BCP(PH75-6,K 20mEq Ca0.5-7Glutamate Asperatate 13mM)を注入し心停止を維持した。両群で左室機能(コンダクタンス法によるEmax改善率)および心筋代謝(心筋酸素消費量MVO2、過剰乳酸値EL)の改善度を比較検討した。 【結果】60分間の常温虚血後(開心術後LOS想定)の%Emax(術前血に対する改善率)は20【+-】5%と高度左室不全を認めた。補助循環群では60分の補助にて%Emaxは39%【+-】5と改善傾向を示したが、MVO2 37【+-】,EL27【+-】12%と好気性心筋代謝の障害が遷延した。これに対してRescue BCP群では20分間の一時的心停止を併用した60分の補助循環により%Emax75【+-】5% MVO2 67【+-】15%、EL57【+-】12%と心筋代謝および収縮性の有意に良好な改善を示し全例において人工心肺から容易に離脱しえた。 【結論】開心術後LOSを想定したブタ急性心不全in vivoモデルにおいて短時間のwarm BCP arrestを補助循環施行時に併用するRescue Blood Cardioplegiaは障害心筋の好気性代謝、心収縮性の改善に極めて有効であり,このような化学的心筋蘇生法と補助人工心臓の併用により従来救命が困難であった重症心筋不全,心停止症例への効果が期待される。
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