研究概要 |
血管平滑筋培養細胞にオキシヘモグロビンを加え、その濃度を変化させdifferential mRNA displayを行い、遺伝子発現の変化について検討した。 105種類のprimer pairを用いてdifferential displayを行い、40種類の発現レベルの異なるバンドを検出した。これらを同じprimerを用いて再増幅後、blunt end ligation(TA cloningは効率が悪く中止した)にてplasmid vectorに挿入し、サブクローニングを行った。挿入DNAを制限酵素切断にて確認後、自動DNA sequencerを用いて塩基配列を決定した。塩基配列には重複が多く、最終的には半分の約20種類の異なる塩基配列を得た。 これらをGenBankにてホモロジーサーチを行ったところ、5種類の既知遺伝子と相同性を認めた。その中で、小胞体に局在するシャペロン蛋白であるBiP(binding protein),同じく小胞体蛋白であるPDI(protein disulfide isomerase),またストレス蛋白のひとつであるubiquitinと部分的に同一の塩基配列を持つものがあった。また、既知遺伝子とは相同性のないものが15種類あり、未知遺伝子の可能性がある。 向後、これらの発現レベルの異なる候補遺伝子のノーザン解析を施行し、実際に遺伝子の発現レベルに変化が起こっているかを確定する予定である。また、組織発現の変化を検討し、血管平滑筋に特異性の高いものを優先して、未知遺伝子をプローベとしてcDNAライブラリースクリーニングを行い、その全長を獲得したい。
|