研究概要 |
これまで全く顧みられることのなかった脳血液量の拍動性変化を近赤外光を用いて測定するシステムを開発した.この局所脳血液量の拍動性変化を波形解析することで,頭蓋内環境モニタリングへの応用の可能性を検討した. 脳血液量の拍動性変化の計測システム:780nmのレーザー光を患者の前額部に照射し,頭蓋内を通過してきた光を3cm離れた所でフォトトランジスターをにて検出した.測定データは,A/D変換したあと計測制御ソフト(labVIEW)にて収集し波形解析を行った. 対照:埋め込み式頭蓋内圧計(OSAKA telesensor)を設置した患者および脳死患者 測定項目:脳血液量の拍動性変化,頭蓋内圧,血圧,ECG 結果: 1.本システムにて頭蓋内血液量の拍動性変化を示す波形が得られた.この波形データは無次元であるため,その絶対値からは頭蓋内環境を推し量ることが出来なかった. 2.頭蓋内圧脈波と脳血液量の拍動性変化から一心拍あたりのヒステリシス特性を持つ圧・容量関係がえられた.また,微分することでCBF脈波が得られた. 3.脳死患者では局所脳血液量の拍動性変化は認めなかった. 結論: 局所脳血液量の拍動性変化は,これを解析することにより,CBF脈波や頭蓋内コンプライアンスの情報が得られた.さらには周波数解析やシステム解析が容易であるなど多くの可能性を秘めた指標である.
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