ウイスターラットの背部に約2センチ×2センチの全層皮膚欠損部を作成し、多層牛コラーゲン膜を縫合固定する。その後1週、2週、3週、4週、と経時的に同部の組織標本を作成し、HE染色の後、光顕での観察を行った。1週目では牛コラーゲン線維はほとんど存在しており、その間隙に多数の炎症細胞とともに線維芽細胞の遊走が観察された。2週目では牛コラーゲン線維の吸収がみられ、また多数の線維芽細胞の中にコラーゲン線維が不規則な配列で存在していた。3週目では、牛コラーゲン線維はほとんど吸収され観察されなかった。また線維芽細胞に代わり、コラーゲン線維が増生しコラーゲン膜とほぼ同程度の厚さになっていた。4週目では3週と余り変化はなく、コラーゲン線維がさらに密に不規則に入り組んで増生していた。またこのころになると最上層のシリコンシートは完全に浮き上がっていた。 以上のことから、牛コラーゲン膜を用いた場合には良好かつ生体に近いコラーゲン線維の増生が獲得できると考えられた。
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