研究概要 |
切断屈筋腱の治療法はいまだ問題点が多い。近年の研究により、強固な初期固定と早期からの運動療法の適応が、治療成績を向上させることが明かとなりつつある。我々は新たな腱縫合法を開発し、犬屍体を用いた実験においてその強度が従来法を大きく上回ることを証明した(Kubota H et al.J Orthop Siec : 136-139,1996.,Kubota H et al.J Orthop Siec : 2 in press,1997.その他)。以上は他施設における研究報告。 今回はこれまでのin vitroの実験をもとに、in vivoにおいて人体の疑似モデルとして認められている生犬を用い、屈筋腱を新たに開発した腱縫合法で再建し、術後運動療法として自動運動を行い、生体でのこの治療法の有効性を評価する研究を行っている。 現在までに、11匹の生犬を用いた実験を行った。この実験は当施設における初めての生犬を用いた屈筋腱の実験であったため、生犬の取り扱いに難渋し最初の7匹においては出血などの術中管理の問題また術後固定装具の破損等で成績を評価するまでに至らなかった。8匹目からは、合併症なく手術及び術後療法を行うことが可能となり、術後3週目に屠殺、屈筋腱を観察したところ、従来とくに問題にされていた腱と腱鞘の癒着、修復腱間の間隙の発生等もなく良好な治癒経過を得ている。 現在、標本数を増やし修復腱の力学的特性について統計学的評価が可能なように更に実験を進めている段階である。従って、また公表可能なdataがそろっていない。
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