研究課題/領域番号 |
08771129
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
|
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
名越 智 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40264527)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 骨肉腫 / 化学療法 / ラット / 肺転移 / 免疫学 |
研究概要 |
ラット骨肉腫を脛骨近位骨内に移植し、担骨肉腫ラットを作成した。化学療法が担骨肉腫ラットにおいて抗腫瘍活性を誘導できるか否かにつき以下の検討を行った。骨内に骨肉腫を移植されたラットは4週後には肺への遠隔転移を高率に起こした。下肢骨に骨肉腫を移植し、移植1週、2週後にメソトレキセート、アドリアマイシンを用いた化学療法を施行し、移植後3週で患肢を切断した(術前化療群)。一方、骨肉腫を同様の方法で骨肉移植した1日後に切断し、腫瘍移植後1、2週で化学療法を施行した群(術後化療群)を設定した。すなわち化学療法開始時期を一致させ、その前後で患肢切断を行うことにより原発腫瘍の存在が肺転移巣形成に及ぼす影響を観察した。術後化療群の肺は骨肉腫からの多数の転移結節が明らかであったのに対して、術前化療群では単発の小転移結節のみであった。術後化療群では早期の患肢切断による原発巣からの新たな肺転移巣形成の可能性がないにもかかわらず転移結節は多く、逆に担癌状態における化学療法の方が肺転移巣に対する治療的効果が高かった。化学療法を施さない場合、腫瘍移植6週後において患肢切断群は患肢未処理群より肺転移結節数が多かった。一方、術前化療群の肺転移巣の病理組織学的検索では、小転移巣周辺にリンパ球浸潤は認められなかった。これらのことより、原発腫瘍を生体内に残した状態で行う化学療法の治療効果は腫瘍への直接抗腫瘍活性のみでなく、患肢に存在する原発腫瘍からの何らかの液性因子による間接的坑腫瘍効果に依存していることが示唆された。
|