研究概要 |
1.血漿中NO_2^-,NO_3^-濃度 正常人の血漿と再置換術前に採取した患者血漿との間で血中のNO_2^-,NO_3^-濃度に有意差を認めなかった。 2.膜様組織におけるiNOSおよびmIL-6R RT-PCR法にては,全症例において272base pareにiNOS,17症例中12症例において307base pareにmIL6Rの各mRNAの発現を認めた。免疫組織学的には,マクロファージ様の明るい胞体を持った細胞,大型の多核細胞,および線維芽細胞様の紡錘形の細胞の大部分にiNOSの発現を認め,iNOSは胞体内にdiffuseに認められ,cytosolに一致していた。また,背景にある炎症像との関係では,炎症性変化が認められる部分では線維化優位の部分よりiNOS陽性細胞が多い傾向を認めた。尚、PBSを一次抗体として用いた対照試験ではiNOSは陰性であった。一方,抗ヒトmIL-6R抗体を用いて行った免疫染色でもマクロファージ様の明るい胞体を持った細胞,大型の多核細胞,および線維芽細胞様の紡錘形の細胞にmIL-6Rの発現を認めた。さらに,連続切片で比較すると,iNOSとmIL-6Rでは発現する細胞や染色性の程度が類似していた。またマクロファージ様の明るい胞体を持った細胞の一部と多数の多核細胞はTRAP陽性であり,ビトロネクチンレセプター抗体に対する反応も陽性であった。以上のことより,膜様組織においては,マクロファージと異物巨細胞に破骨細胞前駆細胞あるいは破骨細胞が混在しているものと考えられた。
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