研究実績の概要 本研究ではラット脛骨神経を切断し、結紮した群(切断結紮群)と脛骨神経切断後に直ちに縫合した群(縫合群)各30匹を作製し、各5匹を術後1週、2週、3週、4週、6週、12週でのMRI撮像を行った。MRI撮像装置は藤田保健衛生大学保有の臨床機で、撮像方法はspin echo法T1およびT2強調像、脂肪抑制法、gradient echo法を用いた。画像評価はフィルムに記録した画像を補助金にて購入のオリンパス製カメラ、ニコンク-ルスキャンにてシャープ製コンピュータに取り込み、現有の画像解析ソフトで行った。さらに、筋電図を用いてM波の導出時期を検討した。 脱神経群では3週で一部のラットの後脛骨筋にT2強調画像での高輝度化を認め、4週では全例で認めた。脱神経群ではこの高輝度は持続し、さらに対象の筋の萎縮が進行した。一方、再神経支配群では4週で後脛骨筋に輝度変化を認めたものの6週、12週では輝度変化の改善が得られた。筋電図でのM波の導出は3週であった。MRIでは主に水分量の変化を画像として抽出するため、筋の機能喪失による筋肉ポンプとしての静脈還流作用の低下、毛細血管透過性の亢進、つまり浮腫が生じることからMRI上の高輝度変化がみられ、再神経支配によって筋が機能回復し、浮腫が改善し、輝度変化が正常化すると考えられた。また、脱神経筋では再神経支配が生じないため、筋の線維化や器質化、脂肪変性などが生じ、輝度変化が異常な状態のまま移行すると考えられる。今後は、組織学的検討、Tibial functional index(PFI)との比較を行っていく予定である。しかし、本研究からMRIが筋電図とならぶ筋および神経の機能評価法となる可能性がありことが示唆され、特に筋電図での検査が困難な深部筋での応用が期待できる。
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