研究概要 |
1.新しい揮発性全身麻酔薬セボフルレンは、心筋Ca^<2+>電流(I_<Ca>)を抑制することが報告されているがその作用機序は明かでない。 2.当該研究では、酵素的に急性分離した心筋単一細胞標本においてパッチクランプ法を適用し、I_<Ca>に及ぼす全身麻酔薬の作用機序について検討した。 3.I_<Ca>は、Cs^+によりK^+電流をブロックした後、保持電位-40mVから200msの脱分極性パルスを与えて誘発した。Ca^<2+>-dependent inactivationによるI_<Ca>の修飾を避けるために細胞内にEGTAを負荷した。揮発性全身麻酔薬は灌流液中にbubblingして適用した。 4.セボフルレン(2.5,5.0vol%)はI_<Ca>のピークを抑制したが、平衡電位およびtime to peakには影響しなかった。 5.セボフルレンはI_<Ca>の不活性化を著明に促進し、不活性化の時定数(τ_f)を減少させた。 6.I_<Ca>の方程式に基づくコンピュータ・シュミレーションの解析から、低濃度(2.5vol%)セボフルレンによるI_<Ca>の抑制作用はτ_fの減少から説明できた。しかしながら高濃度(5.0vol%)における抑制作用はτ_fの減少のみでは説明できないことから、他の要因も関与すると考えられた。
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