研究概要 |
カフェインがモルヒネによる呼吸抑制に拮抗するならば、カフェインは、副作用を減少させ、十分な鎮痛を得るために利用できる。 研究目的1:モルヒネの呼吸抑制に対し,カフェインが拮抗するのかどうか調べる。 研究によって得られた知見:モルヒネによる呼吸抑制は,主に吸気時間の延長により生じ,呼気時間は変化せず,また横隔神経の発射活動の大きさも変化しなかった。カフェインは,このモルヒネによる呼吸抑制を部分的に拮抗することがわかった。この結果から刺激作用は,モルヒネにより抑制された呼吸吸気のオフスイッチ機構にも作用することが考えられた。 研究目的2:モルヒネの呼吸抑制に対するカフェインの作用はアデノシン受容体を介した作用か。 研究によって得られた知見:ナロキソンで拮抗したベースラインより増加した横隔神経の発射活動は,カフェインによる増加と考えられるが,この活動は,アデノシンの静脈内投与で変化しなかったことから,アデノシンとの相互作用は否定的な結果だった。ただし,アデノシンの作用は,中枢への投与と,末梢への投与で呼吸に対し作用が異なることが報告されており,今後,中枢へ投与し,比較する予定である。 研究目的3:GABA受容体を介した作用か、直接呼吸性ニューロンに対する作用があるのかどうか。 研究によって得られた知見:モルヒネによる呼吸抑制に対し,GABA受容体と関係の深いベンゾジアゼピン拮抗薬のアネキセートは,拮抗作用を示さなかった。GABA受容体の拮抗薬である,ビキュキュリンを投与した結果,カフェインと同様に拮抗作用が認められた。これまで,呼吸中枢からの出力である横隔神経の発射活動で主に研究を行ってきた。現在2,3の呼吸性ニューロンのユニットで比較を進めており,早急に結果をまとめる予定である。
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