【実験経過】まず、インターロイキン-8(IL-8)に焦点を当てた予備実験を行った。その結果、採血を行った7Stage(1;麻酔導入後手術開始前、2;人工心肺開始直前、3;人工心肺開始後30分、4;大動脈遮断解除時、5;大動脈遮断解除後30分、6;人工心肺終了時、7;手術終了時)のうち、1;麻酔導入後手術開始前、4;大動脈遮断解除時、7;手術終了時の3Stageの測定で今回の研究題材に対する結果が得られると判断した。 また、購入できたIL-8測定キットのセット数の都合上、コントロール群(8例)、ウリナスタチン30万単位群(8例)、ウリナスタチン60万単位群(7例)の測定となった。 測定値はヘマトクリットにより血液希釈の補正を行い、統計学的検定は反復測定による分散分析法により行い、危険率5%を判定水準とした。 【実験結果】IL-8値は、Stage1に対しStage2およびStage3で有意な増加が認められ、3Stage間に有意差が認められた。(p<0.0001)コントロール群、ウリナスタチン30万単位群およびウリナスタチン60万単位群の3群間には有意差は認められなかった。(p=0.1663)また、3Stageと3群の間に有意な相互作用は認められなかった。(p=0.1051) 【まとめ】今回の研究の結果、ウリナスタチンは人工心肺によるIL-8値の上昇を抑制し得ないことが示唆された。
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