精巣におけるアポトーシスについて検討しその臨床的意義について考察した。まず、ヒト精巣においてアポトーシスが起こっているかどうか、さらに、造精機能障害のある精巣において正常精巣と違いについて検討したところ、造精機能障害をきたした精巣では明らかに正常に比べて精細胞でのアポトーシスが低下していた。このことは、精巣での精子形成を維持するために精細胞の死滅を少しでも少なくしようとする生体の反応ではないかと考えている。しかしながら、今回の検討ではこのヒト精巣でのアポトーシスの調節因子は明らかにでなかった。LHが弱いながらもApoptotic Index %(アポトーシス細胞/すべての精細胞)と逆相関しており、LHがひとつの調節因子である可能性が示唆された。 一方、In vitroでラット精巣の分離細胞を用いた実験系では、Leydig cellでもアポトーシスが起こることが明かとなった。さらに、hCGはLeydig cellのアポトーシスを抑制しており、hCGによりBcl-2は維持されるが、hCGが無い場合は明らかに低下していた。このことは、Leydig cellのアポトーシスにBcl-2が関与しており、hCGがその重要な調節因子であることが示唆された。
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