研究概要 |
(目的)前立腺癌は臨床病期によって治療方針が決定しているが、外科的治療を受けた患者の約40%は臨床的にunderstagingされている。我々は血液、リンパ節を材料にした前立腺癌細胞の検出を行い、Stagingへの応用を検討した。(対象・方法)対象は、未治療前立腺癌63症例(手術症例32例、非手術症例31例)、前立腺肥大症20症例、急性前立腺炎5症例、健常な女性40症例、健常な男性40例とした。末梢血液から有核細胞を分離し、total RNAを抽出した。前立腺上皮細胞によって特異的に発現しているPSA,PSMmRNAに対するoligonucleotide primerを2組設定し、Nested RT-PCRを行い病理診断と対比した。(結果)1・PSA,PSMmRNAの検出感度は10^6個のリンパ求中に存在する1個の癌細胞を検出することができる。2・コントロール群はPSA,PSMmRNAは検出されなかった。3・Stage D2ではPSAmRNAは、31例中4例(12.9%)で検出された。PSMmRNAは、31例中28例(90.0%)で検出された。4・extraprostatic cancer extentionである症例では、PSA Nested RT-PCRは、17例中8例(47.1%)に陽性であり、PSM Nested RT-PCRは17例中13例(76.5%)に陽性であった。5・閉鎖リンパ節の病理診断で転移のない症例でも20例中1例(5.0%)に陽性であった。(結論)PSM Nested RT-PCRはextraprostatic cancer extentionかorgan confinedかを区別できる指標として有用であると考えられる。
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