研究課題/領域番号 |
08771306
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
濱田 洋実 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60261799)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 妊娠中毒症 / ナトリウム利尿ペプチド / ANP / BNP / CNP / cGMP |
研究概要 |
本研究は、妊娠中毒症における降圧系としてのナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide(ANP)、brain natriuretic peptide(BNP)、C-type natriuretic peptide(CNP)およびこれらのペプチドの生物学的活性の大半を担っている細胞内second messengerであるcyclic guanosine monophosphate(cGMP)の役割をあきらかにし、ついでナトリウム利尿ペプチドレセプター(natriuretic peptide receptor-A(NPR-A)、-B(NPR-B)、-C(NPR-C)の遺伝子異常が妊娠中毒症の発症に関与するか否かを検討することを目的とした。 対象は、妊娠中毒症と診断された妊娠35例と、この35例と年齢・経産回数・妊娠週数をマッチさせた35例の正常妊婦とした。妊娠中毒症診断時および産褥1カ月に採血し、その血漿を分離後、ANP、BNP、CNPについてはRIA固相法(IRMA)で、cGMPについてはRIA DCC法で測定した。統計解析はMann-WhitneyのUtestで行った。その結果、妊娠中毒症群では血中BNPが有意に上昇しており、これは妊娠中毒症の循環動態に対する代償機転と考えられた。これに対してcGMPの増加はわずかであり、ANPも含めたナトリウム利尿ペプチドの増加に対する反応性の低下が示唆された。また、これらの病的変化は産褥期には正常化していた。以上の結果は、妊娠中毒症におけるナトリウム利尿ペプチドの役割を示す重要なデータと考えられ、現在学術雑誌に投稿準備中である。一方、本降圧系の破綻が推測された症例においても、レセプター遺伝子の異常については解析した全例で同定できなかった。この点については今後研究を続けたいと考えている。 以上のように、本研究は概ね当初の計画どおりに進行することができた。
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