研究概要 |
睡眠解析のための動物実験モデルとしてSD系ラットの大脳皮質上に脳波記録用電極、後頚筋に筋電図記録用電極、視床に脳温測定用サーミスタ、第3脳室に脳室内微量薬注入用カニューレ、脳内の各局在に脳内活性物質測定用マイクロダイアリシスプローブを挿入した慢性動物実験モデルを作製した。ラットは防音防磁、温度25【plus-minus】1℃、湿度60【plus-minus】6%、明期12時間・暗期12時間にコントロールされた睡眠データ記録用ケージ内におき、脳波、筋電図、脳温を生理学的データとして妊娠全期間を通じて連続的にコンピュータに記 妊娠中の各時期、各睡眠段階における脳内活性物質の定量のため、マイクロダイアリシス法を用いるサンプリングを行った。サンプリングは妊娠日齢1,7,14,19,21日および分娩後2日目に行った。 生理活性物質の投与が睡眠に及ぼす影響を検討するために第3脳室内に挿入したカニューレ用いてPregnenolone、Pregnenolonesulfateを投与した。 Pregnenoloneの暗期の投与ではレム睡眠の増加傾向を認めたが有意差は認めなかった。一方、Pregnenolonesulfateの明期投与によりレム睡眠の減少傾向を認めたが有意差は認めなかった。Pregnenoloneの明期投与およびPregnenolonesulfateの暗期投与ではレム睡眠に一定の変化を認めなかった。PregnenoloneおよびPregnenolonesulfateのいずれの投与によってもノンレム睡眠には一定の変化を認めなかった。 脳内活性物質の睡眠に対する特徴的な影響が示された。今後、サンプリングした検体中の生理活性物質の定量とさらにそれらの物質の脳内投与による睡眠の変化を調べることにより脳内活性物質の妊娠中の睡眠障害における役割の解明を進めていく予定である。
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