研究課題/領域番号 |
08771309
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原 直範 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50280946)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 妊娠中毒症 / 絨毛外トロホブラスト / HLA-G |
研究概要 |
正常妊娠において、胎盤局所で絨毛細胞と脱落膜組織中の母体細胞の間のサイトカインネットワークを介した局所免疫応答が妊娠維持機構に重要であるというイムノトロピズムが唱えられている.これは、妊娠現象において母体は胎児との間で免疫反応を起こさず、そのため胎児が拒絶されないとする従来までの考え方とは相反するもので、母体が胎児が積極的に認識し、各種サイトカイン(M-CSF、GM-CSF、IL-3、TNF-α等)を介し胎盤の成長を促し妊娠が維持されるとする考えである.これらサイトカインのうちM-CSF、GM-CSF、IL-3は絨毛細胞の分化増殖を促進し、TNF-αは絨毛の発育を阻止するとされ、これらの調和により絨毛細胞の正常な発育が起きると考えられている.また,これまではトロホブラスト上に発現していないとされていたHLAについても、従来のものとは異なるHLA-Gが発現していることが明らかになり、妊娠維持に重要な働きを持つと考えられている.そこで妊娠中毒症の病態に、胎盤局所でのこれらサイトカインやHLA-Gを介した異常な免疫応答が関与しているのではないか考えた.妊娠中毒症においては、正常では認められないIL-2が絨毛外トロホブラストに存在したことを報告したが、その他のサイトカインやHLA-Gを介した異常な免疫応答が起きている可能性も高い.そこで本研究では妊娠中毒症患者の胎盤におけるHLA-Gの組織内分布および分泌の有無を免疫組織染色により検討し妊娠中毒症の病因、病態におけるHLA-Gの関与を明らかにする事とした.実験は、正常正期産胎盤及び妊娠中毒症例胎盤を用い、HLA-Gの免疫組織化学染色法(LSAB法)を行った.その結果、妊娠中毒症例胎盤の絨毛外トロホブラストにおいてHLA-G発現の減弱を認めた.本研究により妊娠中毒症胎盤組織の絨毛外トロホブラストにおけるHLA-Gの発現異常が妊娠中毒症の病態に関与していることが示唆され、その病態に胎盤局所における免疫異常が関与している可能性が示唆された.
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