腫瘍抑制遺伝子p53はアポトーシスを誘導し、Bcl-2はアポトーシスを抑制することが明らかになってきている。p53とBcl-2の異常はアポトーシスを抑制することによって腫瘍の悪性化に関与すると考えられる。我々は臨床的に良性腫瘍として存在する子宮筋腫および悪性腫瘍である子宮肉腫の腫瘍性格を明らかにするために、p53とBclー2の発現様式の相関さらにp53遺伝子変異の有無について検討した。手術摘出材料を採取しホルマリン固定パラフィン包埋切片をp53、Bcl-2、Ki67のモノクローナル抗体を用いABC法により免疫組織染色を行いそれらの発現様式を比較検討した。またp53遺伝子変異の有無についてはPCR-DNA Sequenceing法を用いた。usual leiomyoma18例、cellular leiomyoma20例、bizarre leiomyoma4例、tumor of uncertain malignant potential4例、leiomyosarcoma17例について検討した。子宮筋腫においては、タイプの別にかかわらずBclー2の強発現、p53とKi67の弱発現が特徴的であった。子宮肉腫においては、Bclー2陰性群は増殖能が高く、p53のmutationを伴うものが存在し、Bclー2陽性群は増殖能はやや低く、p53のmutationは認められなかった。またp53陰性群の肉腫は増殖能が高いことより、他の遺伝子の異常が存在する可能性が示唆された。異常よりp53の遺伝子に異常があるとBclー2の発現の有無にかかわらず、増殖能が高い悪性腫瘍としての態度をとるものと考えられた。
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