妊婦膣分泌物および妊婦子宮頚管粘液を臨床検体として妊婦20週70例、妊婦30週70例、妊婦34週80例の合計220例の検討を行った。このうち、正期前陣痛、正期前前期破水などの羊水感染をきたした症例は合計12症例であり、残りの208症例は羊水感染をきたすことなく正常分娩に至った症例であった。 1.細菌学的検討 妊婦膣分泌物および妊婦膣子宮頚管粘液ともに、いずれの妊婦各時期においても羊水感染症例では、正常例に比較して、検出菌株数が有意に増加していた。また、妊娠子宮頚管粘液から検出された細菌は、必ず妊婦膣分泌物からも検出されており、上行性感染を支持する結果となっていた。 2.感染局所におけるS.agalactiae抗原の存在 膣分泌物中の30症例に、子宮頚管粘液中の16症例にS.agalactiae抗原の存在が認められた。正期前陣痛、正期前前期破水などの羊水感染をきたした12症例では2症例にS.agalactiae抗原の存在が認められた。 3.感染局所におけるエンドトキシン値 正期前陣痛、正期前前期破水などの羊水感染をきたした12症例中の10症例で子宮頚管粘液中のエンドトキシン値が高くなる傾向が認められたが、膣分泌中のエンドトキシン値には、明らかな傾向は認められていない。症例数が少ないため、カットオフ値を定めるには至らなかった。今後も症例数を増加させて検討していく必要がある。
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