今回、数種の体細胞を用いた胚の共培養を試み、より高い胚発生効率が得られるか、また、その効果が何によってもたらされるか、そしてその後の着床現象にいかなる効果をもたらすかなどについて動物実験モデルを用いた検討を行った。 1、ヒト皮膚線維肉腫細胞、同脂肪肉腫細胞ではDay3、Day5においてそれぞれ4細胞期胚発育率、胚盤胞発育率はコントロールに比べ有意に低値であり、共培養により胚発育はむしろ抑制された。子宮内膜上皮細胞との共培養においてもDay5での胚盤胞率はコントロールに比べ有意に低値であった。卵管上皮細胞はcontrolと比べ有意な差は認められなかった。しかし腹腔マクロファージはマウス、モルモットの種にかかわらずcontrolに比しDay5の胚盤胞率が有意に高値を示した。 2、これらの結果から、胚発育促進効果の見られたモルモットマクロファージとの共培養に関してさらに検討を加え、以下の結果を得た。 (1)共培養に用いた腹腔マクロファージの細胞数に依存して胚発生効率が上昇した。 (2)conditioned medium添加実験では、freshあるいはfreezed mediumにかかわらず、有意にに胚発生効率が低下した。 (3)conditioned medium中のアミノ酸組成の検討までは、明らかな胚発生促進物質を認めなかった。 (4)培養上清中の合計13種類のサイトカイン、growth factorを測定したが、ほとんど検出感度以下であり、唯一、IL-1βのみ検出された。 プロスタグランジン類の定量では、6-keto-PGF1α、TXB2、PGE2、PGF2αが検出されたが、インドメタシンを添加しても胚発生にはなんら影響を及ぼさなかった。
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