研究概要 |
癌化に伴って変化する糖転移酵素のうち、卵巣癌細胞の産生するガラクトース転移酵素は、癌関連ガラクトース転移酵素と呼ばれ、正常人血清由来のβ1,4-ガラクトース転移酵素と同じ遺伝子産物でありながら、その放出機序はそれぞれ異なると推測されている。そこで今年度、研究代表者の所属する研究室でこれまで樹立・継代維持されてきた15種類の婦人科悪性腫瘍由来培養細胞株について、β1,4-ガラクトース転移酵素の発現レベルをNorthern blotによって確認すると共に、培養上清中の癌関連ガラクトース転移酵素と通常のβ1,4-ガラクトース転移酵素を含むトータルのガラクトース転移酵素を定量した。 その結果、(1)β1,4-ガラクトース転移酵素のmRNAは卵巣癌由来培養細胞株(特に卵巣明細胞腺癌由来培養細胞株であるRMG-1およびRMG-2)において有意に強く発現しており、それに伴って癌関連ガラクトース転移酵素。β1,4-ガラクトース転移酵素ともに産生・放出が亢進していること、(2)卵巣癌由来培養細胞株の培養上清中の癌関連ガラクトース転移酵素とβ1,4-ガラクトース転移酵素のタンパク量の比率は、細胞種別にそれぞれ一定であると同時に、癌関連ガラクトース転移酵素の培養上清中への放出は、β1,4-ガラクトース転移酵素のmRNAの発現強度に依存していることが判明した。
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