研究概要 |
掌蹠膿疱部浸潤リンパ球のTCR Vβusageについて解析を施行した。方法として25セットのプライマーを使用するFamily PCR法をもちいた。1症例に対するFamily PCRついては掌蹠膿疱症(PPP)患者皮膚膿疱部より回収したtRNA 0.5mgよりRT-PCRを施行したが、電気泳動後のエチジウムブロマイド染色でも充分に鮮明なバンドが得られた。PPP8症例においてはエチジウムブロマイド染色で多種のTCR Vβ usageが検出され、サザンブロット法後のオートラジオグラフィーで確認された。足蹠膿疱部において検出率が50%以上であったのは、TCR Vβ1, Vβ6, Vβ7, Vβ8, Vβ20であった。このうち、Vβ6は8例中全例に検出された。膿疱部皮膚において、Vβ6をはじめとする特定のレパトアの傾向が高頻度に検出された事実は局所においてこれらのTCRが認識する特定の抗原もしくはスーパー抗原の存在を示唆するものと仮設され、今後の扁桃病巣感染における交叉抗原の存在を考察する上で重要と考えられた。 さらに、PPP発症の動物実験モデルをSCIDマウスを用いて作成、移植した人Tリンパ球について検討した。方法として、掌蹠膿疱症患者扁桃より扁桃摘出後、リンパ球を採取しSCIDマウスに移植し皮膚に膿疱を作成した。この実験において膿疱直下に導入した人Tリンパ球は免疫染色をもちいて確認できた。しかし、その数は人の掌蹠膿疱リンパ球浸潤部位と比較して少なく、TCR Vβ usageについて解析はFamily PCR法以外の検出法による検索が必要と考えられ、現在検討中である。
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