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手術時に得られた鼻茸を上皮細胞に注目し、組織学的に検討した。
連続する切片をHE、PAS-アルシアンブルー、マッソン染色、さらに抗PCNA抗体を一次抗体とした免疫染色(ABC法)をおこない検討した。鼻茸上皮を線毛上皮、過形成上皮、扁平化生した上皮に分けそれぞれのPCNA陽性率を比較した結果、正常上顎洞粘膜と比べて鼻茸上皮は陽性率が高く、線毛上皮、過形成上皮、扁平化生した上皮の順で陽性率が高くなる傾向が見られた。
過形成を示す上皮では、杯細胞が多数みられ、基底細胞だけではなく杯細胞を含めた円柱細胞にもPCNA陽性細胞が多く認められた。すなわち鼻茸上皮においては、杯細胞を含めた円柱細胞にも旺盛な増殖能があって、鼻茸の形成に関与していることが推測された。
鼻茸上皮には、扁平上皮化生様の変化がしばしばみられた。しかし、それらの多くでは角化層が見られず、核がPCNA陽性である細胞が基底層だけでなく表層にまでしばしば見られ、形態的にも扁平上皮化生というよりも粘膜損傷時の修復過程に見られる増殖性の強い細胞であるように観察された。このような部分では上皮の損傷が強いか、あるいは炎症が継続的であると推測された。
上皮細胞が粘膜固有層に向かい陥入している部分が存在し、陥入の先端にPCNA陽性細胞が多いという結果が得られ、増殖陥入していることを示しているとも考えられた。鼻茸内の非典型的な腺上皮細胞がPCNA陽性であることと併せて、少なくとも鼻茸中の腺の一部は、新しく形成されたという可能性が示唆された。
今後我々は、難治慢性副鼻腔炎について治癒症例と免疫組織学的にその違いを検討する予定である。
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