研究課題/領域番号 |
08771456
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 助手 (40203583)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 一側上喉頭神経麻痺 / 輪状甲状筋 / ピッチ変換検査 / 声門のobliquity / 声門軸回転 |
研究概要 |
一側上喉頭神経麻痺麻痺の喉頭動態を明らかにするために、3匹の生犬を用いた全身麻酔下の実験を行なった。一側の上喉頭神経外枝切断後に発声が可能な程度の麻酔深度で発声中に他側の上喉頭神経を電気刺激すると、声門軸が回転して後部声門が切断側へ移動することが確認された。声門軸回転の程度は非切断側の輪状甲状筋の収縮度が大きく変動するほど大きかった。この結果から、一側上喉頭神経麻痺例において、発声時にピッチを上げることで健側の輪状甲状筋に収縮が生じ、甲状軟骨に対して輪状軟骨の前部が健側へ、後部が麻痺側へ回転するため、後部声門が麻痺側に移動すると推定された。 喉頭筋電図で診断された一側上喉頭神経麻痺例21例にピッチ変換を指示して喉頭ファイバービデオ検査を行なった。5例はピッチの変換ができず、ピッチ変換可能な16例中13例(81%)でピッチ上昇に伴って声門軸回転が生じ、後部声門が顕著に麻痺側に移動した。声門軸が回転しなかった3例中2例は甲状腺術後例で甲状腺と前頚筋を広範囲に切除し、喉頭周囲に著名な瘢痕があり、1例は感冒後の不全迷走神経麻痺例であった。他方、上喉頭神経麻痺のないコントロール群23例ではすべてピッチ変換が可能であり、ピッチ変換に伴って声門軸が回転した例はなかった。したがって、ピッチ上昇に伴う声門軸回転が一側上喉頭神経麻痺に特徴的な喉頭動態であることが明らかとなり、ピッチ変換時に喉頭動態を観察することが一側上喉頭神経麻痺を診断するための簡便なルーチン検査として有効であることが示された。
|