変視症を心理物理的手法を用いて測定できるよう、プリズムを利用した定常的物質的ゆがみを与える光学系視標と、それを視覚した場合に得られる自覚的な変視を定量的に測定する実験光学系を作成した。この方法で得られる自覚的ゆがみと、空間上に配置された視標の物理的距離を比較し、変視の定量化について検討した。 定常的な物理的視標としてハロゲン光源より点灯される3本の短い縦線の視標を使い、網膜中心部5の範囲で変視の定量を行った。この3本の視標の空間位置は水平線上に等距離に位置しているが、光学系にプリズムを装着することによって変化し、物理的なゆがみとなって被験者に投影される。光学系装置はビームスプリッターとIBM製パ-ナルコンピューター、マウスによって制御されるモニターにより構成される。心理物理実験に熟練した正常者2名を被験者に検査を行い、プリズムにより生じたゆがみ、即ち視標の空間位置の変化と、それを知覚した場合の自覚的ゆがみの位置関係について検討を行った。 副尺視力の概念を応用した測定方法により、空間上の像を我々が感覚的に認識したそのままの状態で数値に表現することが可能となった。 プリズムを導入した場合に生ずる方向性のあるゆがみは、個人のバイアスが影響するが、水平に置かれた1本の直線を等しく2分化する方法ではなく、中心凝視の状態で、左右それぞれの辺を等しく2倍化し、解析する方法によりバイアスの除去が可能であり、変視の程度を【plus-minus】 2%以下の定量的に測定することが可能であっ
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