研究課題/領域番号 |
08771494
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂本 泰二 九州大学, 医学部, 助手 (10235179)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 薬物送達 / 緑内障 / 網膜剥離 / ターゲット / ブレオマイシン / 電気パルス / 電極 |
研究概要 |
まず、電気パルスによる薬物送達効果向上が、培養細胞で可能かを調べるために培養家兎線維芽細胞をもちいて、各種薬物(MMC、Bleomycin(BM)、5-FU、100nM)を培養液内に添加して細胞増殖能を調べ、電気パルス(2000V/cm、8pulses,200mS)を併用して同実験を行った。また、細胞DNAの変化をflow cytometryにより検討した。その結果、それぞれは線維芽細胞増殖能を抑制した。一方、電気パルスのみでは、細胞増殖能に影響を及ぼさなかったが、MMC、BM、5-FUと電気パルスを併用すると、細胞増殖抑制作用は著しく亢進した。flow cytometry解析では、電気パルス処置のみではDNA fragmentationを促進しなかったが、薬物と電気パルス処置を併用すると著しいDNA fragmentationが見られた。次に実際の生体下における影響を調べるために有色家兎を用いた。結膜切開を行い、角膜輪部に強膜弁を作成した。手術時に濾過部にMMC、BMを塗布した。本実験では、電気パルスと薬物併用による薬物作用増強効果を見るために、以上の手術に電気パルスを加えた。電気パルスは、濾過形成部に薬物を含むスポンジを用いて留置し、その上にeyecup型電極(特許申請中)をおいて電気パルスを加えた。これらの実験眼に対して眼圧の変化を、経時的に測定した。その結果、いずれの群においても、電気パルスと薬物投与を併用した群では28日後まで、長期に眼圧下降作用が見られた。 本実験では、特殊電極を使用して薬物の局所効果を高めることができた。これは、臓器をターゲットにしたものではなく、小組織や細胞を対象とした新しい局所薬物送達法である。今後は、カテーテルや内視鏡に組み合わせることで、眼科領域以外の疾患の治療に応用可能であり、将来の幅広い応用が期待できる薬物送達法である。
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