1.鶏胚から採取した網膜色素上皮(retinal pigment epithelium ; RPE)のen face preparationに対し、RPE細胞のアクチンを蛍光標識して共焦点レーザー走査顕微鏡で観察した。既に報告されているRPE細胞のアポトーシスを示す形態的特徴を有する細胞配列を同定し、死細胞と考えられる細胞が真にアポトーシスの過程にあるか否かを組織化学的方法により検討した。アポトーシスの検出に広く用いられているTUNEL法では、処理過程でのen face preparationの維持が困難であることから明かな所見は得られなかった。よう化プロピジウムを用いた方法では死細胞と考えられる細胞が選択的に標識され、観察対象が真に死細胞であることが確認された。 ブタ眼球から採取したRPEのen face preparationに対し同様の観察を行った。鶏胚RPE細胞の細胞死の像に類似して、ブタRPE細胞にもほぼ同様の形態学的特徴を示す細胞配列のパターンが認められ、哺乳類のRPE細胞でも鶏胚RPE細胞と同様の機序でアポトーシスとこれによる上皮細胞の欠損部の修復が生じている可能性が示唆された。 鶏胚RPEを透過型電子顕微鏡用に固定・処理し観察を行った。一部に細胞死の電子顕微鏡像が認められたが、共焦点レーザー走査顕微鏡による観察のような周囲の細胞との相互関係を明らかにすることはできず、有意の観察結果は得られていない。透過型および走査型の電子顕微鏡を用いた観察を継続中である。
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