Human T-cell leukemia virus type 1(HLTV-1)ぶどう膜炎(HU)患者における末梢血単核球中のHTLV-1感染細胞の割合(ウイルスロード)は、無症候性キャリアに比べ有意に増加していることを以前に報告した。このウイルスロードの増加が、本疾患の発症および病態形成にどのように関与しているかを検討するため、1)ぶどう膜炎の活動性の異なる時点でのウイルスロードの比較検討および2)各症例の臨床像および免疫学的指標とウイルスロードの関連性を解析した。活動性の異なる時点におけるウイルスロードの検討は、対象例数が不十分であるため解析を継続中である。病態の指標とウイルスロードとの相関に関しては、以下の様な結果を得た。 対象はHU患者79例で、臨床情報は以下の項目について整理した。 1)臨床像:炎症の程度(HUの特徴である硝子体炎症を指標とした)・再発間隔 2)免疫学的指標:血清抗HTLV-1抗体価・血清soluble IL-2Rα値 全症例のウイルスロードの平均値は3.9±4.1(%)であった。これは、以前報告した無症候性キャリアのウイルスロードに比べ有意に高かった。臨床像との関連性については、硝子体炎症が強くなる程また再発間隔が短い程、ウイルスロードが高い傾向がみられ、統計的に有意な相関を認めた。免疫学的指標との関連性については、血清抗HTLV-1抗体価および血清soluble IL-2Rα値が高い症例ほどウイルスロードが高い傾向が認められた。 以上のことより、ウイルスロードはHUの眼炎症の程度と相関していることが示され、増加したHTLV-1感染細胞がHUの発症および病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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