研究概要 |
眼内に活動性病変の原田病及び交感性眼炎における眼局所浸出細胞、脳脊髄液内浸出細胞(原田病のみ)及び末梢血単核球(PBMC)を採取して、rIL-2、feeder細胞(X線照射した混合健常人末梢血単核球)存在下にてT細胞クローンを樹立した。樹立したT細胞クローンのphenotype解析をフローサイトメトリーにて行ったところ、原田病由来T細胞クローンの大部分はCD3_+CD4_+CD8_-で、一部はCD3_+CD4_-CD8_+であった。またこれらのクローンは全てTCRα/β_+であった。次に樹立したT細胞クローンのサイトカイン産生能及びサイトカイン産生能に対する各種薬剤の効果をELISA法により検討した。測定したサイトカインはIL-1α,IL-2,IL-3,IL-4,IL-6,IL-8,IL-10,TNF-α,IFN-γ,GM-CSFで各疾患の無刺激下でのサイトカイン産生能は原田病でL-6,IL-8,IFN-γが高値を示し、交感性眼炎ではIL-8,IFN-γが高値を示した。又、このサイトカイン産生能に対する各種薬剤(プレドニン、タクロリムス、ジクロフェナックナトリウム、その他)の抑制効果について検討したところプレドニン投与は多くのサイトカインで有意な抑制があり、他の薬剤に関しては一部のサイトカインで抑制がみられた。次にHLA-A2(+)原田病及び交感性眼炎のT細胞クローン(CD8_+)がメラノーマ抗原MART-1分子を抗原として認識しているか細胞傷害性の検討を行った。原田病眼局所由来T細胞クローン2クローン、PBMC由来2クローン、交感性眼炎眼局所由来5クローンがHLA-A2拘束性MART-1特異的細胞傷害活性を示した。又、この中の原田病眼局所由来TCCの1クローンはメラノサイト細胞株、メラノーマ細胞株に対してもHLA-A2拘束性に細胞傷害性を示した。また同原田病患者のPBMCにMART-1ペプチドを加え培養することでペプチド特異的キラーT細胞(CTL)を誘導した。このCTLを用いて細胞傷害性を検討したところ、末梢血レベルでも同様にこのようなCTLが存在し、MART-1特異的細胞傷害活性を示した。
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