この研究の目的はヒルシュスプルング病における遺伝子レベルの異常を検索することである。その実験としては(1)ウィスター系ラット(将来的にはaganglionosisラットを用いる予定)の肝および末梢血液 (2)家族歴を示さないヒト・ヒルシュスプルング病の症例の末梢血液 (3)正常ヒト末梢血液 からPK-フェノール法でゲノムDNAを抽出した。こののち、エンドセリンレセプターB(EDNRB)遺伝子の7エクソンに対してそれぞれイントロン内でプライマーを作成してPCRにて増幅し、至適温度でSSCP(single strand conformation polymorphisms)を行いバンドの検出を試みた。さらに、シークエンスを行い変異部位の検索を行った。結果として、欠失や点突然変異などの異常はみられなかった。 現在は神経提由来の組織の発生、分化に大きな役割を果たすと報告されているRET癌遺伝子(RET proto oncogene)について検討している。RET癌遺伝子の20のエクソンについて各エクソン毎に作成したプライマーを用いてPCRにて増幅し、ENDRB遺伝子と同様にSSCPおよびシーケンスを行い変異部位を検索していく予定である。
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