研究課題/領域番号 |
08771564
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中村 浩彰 新潟大学, 歯学部, 助手 (50227930)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | エナメル / CD44 / ERMファミリー / 中間層細胞 / 乳頭層細胞 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
細胞の分化、形態変化は全身性ホルモンのほか局所性のサイトカインおよびカドヘリン、インテグリンなどの細胞接着分子を介した細部間、細胞基質間相互作用により制御されている。細胞接着分子はこれに結合する細胞骨格蛋白を介して細胞内情報伝達に関与しており、CD44においても月田ら(1994)によりエズリン、ラディキシン、モエシンからなるezrin-radixin-moesin(ERM)ファミリーがアクチンフィラメントの構築に重要であることが明かにされている。我々は、エナメル器の細胞のなかでも中間層細胞、乳頭層細胞にCD44(ヒアルロン酸レセプター)が豊富に局在していること、CD44分子中にパラン硫酸鎖が含まれることを免疫組織化学的に明らかにし、さらに切片上にて中間層細胞、乳頭層細胞にヘパリン結合性サイトカインである線維芽細胞成長因子がヘパラン硫酸鎖を介して保持されることを報告してきた。 本研究は、ラット切歯エナメル器細胞におけるヒアルロン酸レセプターであるCD44、アクチン結合性蛋白であるERMファミリー局在について検索し、これらの蛋白の細胞骨格形成における役割、エナメル器の分化と関連性を免疫組織化学的に検討し、共焦点走査型レーザー顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いて観察したものである。エナメル器におけるCD44局在は、エナメル器細胞すべてに認められたが、とくに前エナメル芽細胞から形成期エナメル芽細胞への分化に伴い、中間層細胞において強い陽性反応を示した。成熟期にいたるとsmooth-ended ameloblasts,ruffle-ended ameloblasts いずれの時期においてもCD44局在は乳頭層細胞に強く検出された。ERM局在については、中間層、乳頭層細胞ではエズリン、ラディキシン局在がCD44分布と類似して認められ、電顕観察により、両細胞の微繊毛構造に一致することが明かとなった。また、分化期においては前エナメル芽細胞と中間層細胞の接触部位に、CD44、エズリン、ラディキシン局在が認められた。以上のように、CD44-エズリン、ラディキシン-アクチンフィラメント機構が中間層、乳頭層細胞の細胞骨格の構築の関与すること、さらに、エナメル芽細胞の分化制御における中間層細胞あるいは乳頭層細胞との細胞間相互作用の細胞生物学的機構に重要であることが示唆された。
|