α溶血性レンサ球菌のうちmitis groupに属する7菌種を鑑別するためのDNA-probeを16S rRNA塩基配列の比較結果から作成した。各probeはそれぞれ目的の菌種基準株とのみ反応することをdot hybridizationにより確認した。さらにAutolysin gene特異的PCR法を組み合わせ、7菌種を全てを鑑別できるセットを完成させた。これらの方法を臨床分離株119株に適応したところ77株については菌種名を特定できた。この中にはDNA相同試験で交差反応のため同定できなかった44株が含まれており、probe法の有用性が確認できた。鑑別した各菌株を使い、生化学性状100種以上のデータを収集したが、種特異的な性状は見当たらず、通常使われている性状とは別に新たな生化学性状を検索する必要がある事が示唆された。 一方anginosus groupの3菌種については16S rRNA塩基配列がお互いに酷似している為、あらたに23S rRNAの部分塩基配列を決定し、そのデータからanginosus group特異的および各菌種特異的probeを作成した。各probeはそれぞれ目的の菌種基準株とのみ反応することをdot hybridizationにより確認した。臨床株を使った試験ではgroup特異的probeとのみ反応し、何れの菌種特異的probeとも反応せず、また報告されている生化学性状パターンとも異なる株が存在していることが判明し、新菌種となりうる可能性があることが分かった。現在、DNA相同試験を実施し、新菌種記載のための準備を行っている。
|