研究課題/領域番号 |
08771576
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
栢原 浩彰 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (50263942)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 口腔癌 / 腫瘍マーカー / サイトケラチン / CK10 / CK13 |
研究概要 |
サイトケラチン(以下CK)を用いた血清学的診断を行うための第一段階として、口腔扁平上皮癌42例におけるCK分布様式を免疫組織学的に解析した。舌18例、歯肉13例、頬粘膜、上顎洞各4例、口底3例であった。CKはホルマリン固定により抗原活性が減弱するため、マイクロウェーブによる抗原性の回復を工夫した。その結果、凍結切片で得られると同等の染色感度を認めた。CK19は正常口腔粘膜では基底細胞のみに発現し、Acanthosisを示す粘膜では基底細胞層に加え、有棘細胞も強陽性に染色された。口腔癌での陽性率は低く、強陽性(+++)は42例中10例(24%)であり、特に高分化型では15%にすぎなかった。口腔癌でのCK19発現は分化度との相関がみられ、中分化型で30%、低分化型で50%と分化傾向が低くなるにつれて、発現率は上昇した。また、上顎洞、舌および下顎歯肉由来の扁平上皮癌はCK19の陽性率が高く、上顎歯肉原発癌は逆に低いという傾向が見られた。CK13は特に角化層において強く発現しており、角化胞巣部の細胞集塊や胞巣周囲に散在するindividual keratinizationを伴った個々の腫瘍細胞にも陽性であった。腫瘍胞巣では辺縁側よりも中心側の細胞の染色強度が高い傾向を示した。陽性率は+++、++合わせて約36%、特に高分化型扁平上皮癌では50%であった。CK13は癌細胞細胞質での陽性率は高く、+++8例、++11例であり合計で45%が++以上を示した。cancer pearlを形成する腫瘍胞巣では同心円状の陽性像が見られた。一般に胞巣最外層の基底細胞様細胞は陰性を示した。以上の結果から、口腔扁平上皮癌の腫瘍マーカーとしてはCK19(CYFRA)に加え、より発現量の多いCK13,CK10を用いたimmunoradiometric assayを開発すべきであると考えられた。
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