携帯用パノラマX線装置の開発をレントゲン機器の大手メーカーである(株)朝日レントゲン工業に依頼し、承諾を得た。当社より市販されている軽量な携帯用X線撮影装置(KX-60)の管球とパノラマX線撮影装置(AUTO-2000)をベースに設計を進めた。しかし、X線管電圧60kVのKX-60の管球では大規模災害時の連続撮影には耐えられない可能性があるため、新たにX線管電圧70kVの高周波インバータ-方式による軽量化されたX線発生装置を開発した。撮影条件を十分検討し試験撮影した結果、撮影時間を短縮し良好な画像が得られるようになった。従来のパントモ撮影装置の管球の回転軸は垂直方向であるが、携帯用の場合、仰臥位で撮影できるように回転軸を水平方向にさせるためスタンド部の強化が必要である。スタンド、回転部、およびカセットホルダー部等は、パノラマX線撮影装置(AUTO-1000EX)を基本構造として使用する。遺体を載せる台は市販のストレッチャーを用い、手動でヘッドサポート角度を変えられるような頭部固定台を後付けし、本体に接続できるようにする。頭部の位置付けは、前歯・正中・フランクフルト平面の3ビームにより合わせられるようにする。フィルムは通常のパノラマ撮影に使われている15×30cmを用い、平面カセッテに装着する方式とする。以上のように、仕様・基本設計・検討図作成は終了し、現在、試作機の作製に取りかかっている。今後、メーカーと協議検討を重ね、できるだけ小型軽量化しつつ強固な装置の開発を進めていく。
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