研究概要 |
本研究では、口腔癌細胞HSC-3におけるPTHrP遺伝子発現に対する、1,25-dihydroxyvitamin D_3(1,25(OH)_2D_3)および9-cis-retinoic acid(9cRA)の作用について詳細に検討した。1,25(OH)_2D_3,9cRAは共にHSC-3細胞のPTHrP mRNA発現、HSC-3細胞からのPTHrP分泌を用量依存的に抑制した。更に、1,25(OH)_2D_3,9cRAによるHSC-3細胞のPTHrP遺伝子発現の制御のtime course(12,24,36,48h;12h毎に培地を交換)を検討した。1,25(OH)_2D_3(10^<-7>M),9cRA(10^<-7>M)処理群では、12〜48hの全時間においてコントロール群と比較して、顕著なPTHrP mRNA発現の抑制が認められた。PTHrP分泌は、9cRA(10^<-7>M)処理群では全時間において顕著に抑制されたが、1,25(OH)_2D_3(10^<-7>M)処理群では24hまで顕著に抑制され、36h以降、抑制効果がやや減弱していく傾向が認められた。次に、1,25(OH)_2D_3(10^<-9>M)と9cRA(10^<-8>M)を組み合わせてHSC-3細胞に作用させたところ、1,25(OH)_2D_3,9cRAをそれぞれ単独で作用させた場合に比べ、PTHrP mRNA発現量が有意に低下した。PTHrP分泌量にも同様な傾向が認められた。 以上から、PTHrP遺伝子上流にRXR-VDRヘテロダイマーが結合するnegative vitamin D responsive element(nVDRE)の存在が示唆された。更に、RXR-VDRはそれぞれのリガンド結合により複合的活性化を受け、一方のレセプターのみが活性化された場合よりも強くPTHrP遺伝子発現を抑制することが明らかとなった。
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