研究課題/領域番号 |
08771632
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
鍛冶屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (80177378)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 破骨細胞 / カルシウムイオン / チロシンキナーゼ |
研究概要 |
破骨細胞の極性化や骨吸収能の発現にはチロシンキナーゼによるリン酸化が深く関わっており、極性化に伴いc-srcやFAKなどのチロシンキナーゼの活性化が認められることや、逆にチロシンキナーゼ阻害剤により骨吸収能が抑制されることが報告されている。しかしながら、破骨細胞のチロシンリン酸化を介する骨吸収能発現において細胞内Ca^<2+>濃度(|Ca^<2+>|_i)がどのように関与しているかほとんどわかっていない。そこで、破骨細胞のチロシンリン酸化阻害による|Ca^<2+>|_iの変化と極性化に伴い形成されるactin ringへの効果について検討した。 actin ring有し極性化している破骨細胞にチロシンキナーゼ阻害剤(GenisteinやHerbmycin A)を投与すると、数分後に|Ca^<2+>|_iの緩やかな上昇が認められた。この|Ca^<2+>|_iの上昇は、細胞内Ca^<2+>貯蔵部位の機能を抑制する薬物(Thapsigargin)の前処理でも認められたが、細胞外液のCa^<2+>除去により完全に消失した。しかしながら、阻害剤のinactive analogue(Genistin)の投与ではこの上昇は認められなかった。さらに、阻害剤(Genistein)の投与はactin ringの形成を10〜30分の経過で濃度依存性に抑制したが、阻害剤のinactive analogue の投与では形成を抑制しなかった。 以上より、極性化している破骨細胞ではチロシンキナーゼ阻害剤の投与により、細胞外からのCa^<2+>流入経路を介して細胞内Ca^<2+>濃度が上昇すること、さらに阻害剤はringの形成を抑制し極性化を抑制することが解った。 従って、破骨細胞にはチロシンキナーゼによって抑制されるCa^<2+>流入経路が存在している可能性があり、チロシンリン酸化による極性化や骨吸収能の発現にはこの流入経路が介在している可能性がある。
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