研究概要 |
今回は顎関節症患者の咬筋内の乳酸を測定する前段階として、正常者ヒト咬筋内の乳酸を測定するための1H-MRSのプログラムの開発を目的として実験を行った。 対象は正常ボランティアの咬筋とし、使用装置は北海道大学医学部附属病院所有のMR装置、Seimens社製のVISION(静磁場強度1.5tesla)とMRIおよびMRS両用のhead coilを使用した。まずはガントリ-の周囲にある12個のコイルを調製して、コイル全体の磁場を均一にするプログラムを作成した。さらに、T1強調像にて撮像し、咬筋の位置を3次元的に確認し、周囲の脂肪組織が関心領域内に入らないように咬筋内に関心領域を設定し、この関心領域内の磁場を均一にするように12個のコイルを調整した。関心領域は咬筋の形状を考え直方体とし、被験者により多少の変形を加え、その体積は約10ml前後であった。乳酸の検出に優れているといわれているspin echo法のSVS (single voxcel spectroscopy)を使用し、信号を収集場合の条件はTR=2000msec, TE=270msec,積算回数=300回とした。信号収集時間は6分であった。 結果、正常者の咬筋からは安静時には、乳酸のピークは認められなかった。しかしながら、可能な限り最大噛みしめを持続させた場合にのみ、乳腺のピークが得られた。
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