ラット耳下腺の炎症程度を動物実験用磁気共鳴画像(MRI)上で定量的に把握するに先立ち、実験的耳下腺炎誘発方法の精度について検討した。ラットステンセン管を脳外科用クリップで結紮し、一定期間置く際に、クリップ先端に挟むアルミ箔の厚みを変化させることで、3段階のを設定した。それぞれの結紮圧に対し、1週間の2通りの結紮期間を設定し、計6グループの実験群を設定した。各実験群において、クリップ除去直後、3日後、7日後、14日後、28日後、84日後に、微小唾液腺造影と組織標本の作成を行い、耳下腺の回復過程を観察した。各ステージにおける耳下腺の回復状態が結紮圧と結紮期間に依存していたことより、この耳下腺炎誘発方法では、惹起させる炎症の程度を段階的にコントロールすることが可能であることが示唆された。 次いで、動物実験用磁気共鳴画像(MRI)装置を用いて、ラット耳下腺のプロトン顕微MRI(MRマイクロイメージング)の方法を確立した。すなわち、磁場強度4.7テスラMRI装置(Varian社製 UNITY plus-SIS 200/330)を用いて、Wister系ラット雄(16週齢)の耳下腺MRマイクロイメージングの方法について検討した。使用したコイルは、プロトン用表面コイル並びにクアドラチャコイルであり、撮像シーケンスはスピンエコー法並びにグラディエントエコー法とした。撮像パラメータを変化させながら、得られるMRマイクロイメージングの画像を比較した。その結果、良好な信号/ノイズ比を保ちながら空間分解能を向上させるためには、加算回数を可能な限り多くするだけでなく、バンド幅の狭いシーケンスの選択が有効であることが示唆された。
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