研究概要 |
【目的】IDDM患者の歯周病の病態を整理し,歯周病に対する治療および管理を確立することを目的とした。 【方法】歯周病に対する認識を高めるためIDDM患者を対象に歯周病についての講演を本年度は下記のごとく行い、歯周病についての臨床検査および各種宿主生体防御機能検査・IDDM患者の歯周病の臨床的病態の整理を行った。 岡山小児糖尿病協会主催サマーキャンプ(1996年7月) 広島もみじの会集会(1996年9月) 近畿つぼみの会集会(1996年9月、12月) 【結果】1.IDDM患者の歯科検診および口腔内状態 1995年から約170名の歯科検診を行い、ほとんど全ての患者に歯周炎の発症を認めた。 各種歯周病関連細菌に対する血清IgG抗体価で個体差は大きいが総じて高かった。 2.歯周病についての臨床検査および各種宿主生体防御機能検査 本院IDDM患者歯周病外来を受診した22名の患者の内レントゲン診査において早期発症型歯周炎と考えられる4名の患者を発見した。 患者7名(早期発症型歯周炎4名、歯肉炎3名)の細菌検査では全員から3種の主要歯周病関連細菌を検出した。 リンパ球の機能検査において血清中のTNF-αの濃度が高かった。 【考察と結論】IDDM患者は、同年代の健常者に比べて、歯周病関連所見が特徴的であり、歯周病をIDDMの合併症と考えることができる。IDDM患者におけるEOP発症のメカニズムは本合併症を解明する鍵となると考えられる。また、血清中のTNF-αの濃度の上昇によって歯周組織の破壊がもたらされた可能性が示唆された。 IDDM患者歯周病外来を受診した患者については、定期的検診・メインテナンスを行っているが、今後も広報活動を続けていく必要がある。
|