研究概要 |
歯周病原因菌であるT.denticolaについては、塩基配列も含め数種類の遺伝子が報告されており、prtBはキモトリプシン様プロテアーゼをコードする事が知られている。このprtBの上流は大腸菌のTrgと高いアミノ酸ホモロジーを有しており、prtBの上流にはT.denticola のbacterial chemotaxis遺伝子が存在する可能性が示唆された。そこで染色体DNAを分離後、TaqI,Sau3A,AluIを用いて完全分解しそれぞれself annealさせた後、適宜合成プライマーを用いてinverse PCRを行いDNA sequenceを行って、その上流約2000bpの塩基配列を決定した。その結果、ORF1の上流には1215bpのORF(dmcA)が存在し、その分子量は45kDaと推定された。また、このdmcAの翻訳開始コドンの85bp上流に転写開始部位の存在することがprimer extension分析の結果明かとなった。一方、下流においてはpotential stem-loop構造が存在していた。アミノ酸分析の結果、dmcAは大腸菌等のsignaling domain(highy conserved domain)と非常に高いアミノ酸ホモロジーを有しており、大腸菌のTar蛋白とは、全DNA sequenceでは26%、アミノ酸ホモロジーでは29%であり、一方Bacillus subtillis McpA蛋白とは29%(513アミノ酸のホモロジーを有していた。 T.denticola由来細胞抽出画分を抗Trg抗体を用いてWestem blotを行ったところ、45,57及び65kDaのメチル基受容蛋白の存在が確認された。Iac promoterを有するpCR-Script SK+を発現ペクターとして用いdmcAのinframeを作製後、抗Trg血清を用いてWestern blotを行った結果、約45kDaの抗Trg抗体と反応性を有するバンドが確認された。このことからこのdmcAは、T.denticola35405株のメチル基受容蛋白をコードしていると考えられる。現在、このdmcA-delution mutantを作製中でこのmutantを用いてDmcAの性状を確認する予定である。
|