研究概要 |
歯周病原性細菌のひとつであるPorphyromonas gingivalis(P・gingivalis)由来47kDa抗原性タンパク質に対する特異抗体産生ハイブリドーマ(mAbG 5)を10%FCS含有RPMI-1640倍地で培養した。その上清に対して80%硫安沈殿後、affinity chromatography kit(MAbTrap G2)を用いてモノクローナル抗体(mAb)を精製した後、centriconを用いて濃縮した。まず、マウスに投与するmAbの量とその抗体が生体内に持続して存在している期間を調べるために、このmAbを1,5,10mg/mlの濃度に調整し、8週齢BALb/cマウスの眼窩下静脈より1mlずつ投与した。その後、1,2,4,7日後に末梢血を採取し、ELISAで調べた。ELISAは抗原をP.gingivalis381の超音波破壊抽出物とし、1次抗体は採取した末梢血を5倍希釈して用いた。2次抗体は1000倍希釈のHRP標識抗マウスIgヤギ血清を用いてOD=490で測定した。その結果、mAb 10mgを投与した場合2日後までは末梢血中にmAbの存在が確認できた。しかし、投与するmAbの量と効果的な抗体価の上昇を考えあわせると、今回の投与方法は効率的とはいえなかった。そのため抗体産生ハイブリドーマ自体をマウス生体内へ直接眼窩下静脈より投与し、実験期間中生体内で抗体を産生させる方法なども考慮してさらに検討することが必要と思われた。 次に、P,gingivalis 381のgrowth curveをJunior 2 spectrophotometerを用いて調べたところ対数増殖期は60-80時間であった。そこでこの対数増殖期の培養液中に滅菌した絹糸を浸し、その絹糸をマウスの下顎第一大臼歯の歯肉溝に挿入して歯周組織の破壊を惹起できるかについては現在実験を継続中である。
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