研究概要 |
歯周炎における神経伝達物質の役割を検索する目的で,サブスタンスP(SP),Vasoactive Intestinal Peptide(VIP),ソマトスタチン(SOM)のヒト好中球に対する活性化とヒト由来歯肉線維芽細胞(human gingival fibroblast,HGF)への接着,障害に与える影響について検討した。 1.好中球からのリゾチームの放出は10^<-12>〜10^<-4>M SP刺激で認められ,その放出量は15分でピークに達した。またSPでプライミングした後,Formyl-Methionyl-Leucil-Phenylalanin(FMLP)で刺激するとリゾチームの放出量はさらに増加した。 2.HGFに対する好中球の接着細胞数は,10^<-8>〜10^<-4>M SP,10^<-9>〜10^<-7>M VIP刺激によって増加した。さらにSP,VIPで前刺激したのちFMLP,PMA刺激すると接着細胞数がさらに増加した。また細胞接着は抗CD11a,CD11b,CD18抗体の添加によって抑制された。SOMは細胞接着に影響を与えなかった。 3.好中球のHGFに対する細胞障害は,SPによるプライミング時のみに認められた。 以上のことから炎症局所に浸潤した好中球と神経伝達物質を介した反応が,歯周炎の炎症反応に関与していることが示唆された。
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